晴れて社労士試験に合格し、今後のキャリアとして独立を考えている方は多いと思います。
飲食店の開業資金は約1,000万円かかるというのは良くある話ですが、士業の場合の開業資金は他と比較しても安く抑えられると言われています。
そこで改めて試験合格から独立までの流れや、総額でいくらかかるのか?具体的にまとめてみました。
全国社労士会連合会への登録料
まず最初に行わなければいけないのは、社労士会連合会への登録です。
連合会への登録をしない限り、社労士と名乗ることや、社労士としての業務(1号や2号)の仕事を行うことができません。
また登録するための要件として、実務経験が求められます。
実務経験がなくても登録することは可能ですが、あるかないかにより登録までのフローが異なってきますので、それぞれ別に見ていきましょう。
実務経験が2年以上の方
連合会へ登録するには、2年以上の実務経験が必要になります。
この実務経験とは社会保険に関する書類の作成や労務管理、勤怠管理などを指し、現に人事部や総務部に勤務している方や、社労士事務所で働いている方は実務経験を満たしていると言えます。
気になる登録料ですが、
登録免許税 30,000円
登録手数料 30,000円
計60,000円の登録料がかかります。
結構高いですね!
実務経験が2年未満の方
一方実務経験が2年未満の方でも、一定の要件を満たせば社労士の登録を行うことができます。
その要件と言うのが、事務指定講習を受けることです。
この事務指定講習と言うのは、労働法や社会保険の法律に関する課題の提出や、4日間に渡る面接指導を受け、全課程を修了することで実務経験の代わりとすることができます。
この事務指定講習の費用は、75,600円となっております。
要は実務経験がなくても75,600円払えば登録できるよ!ということですね。
もちろん先ほどの登録料も別途で発生するので、予めご注意ください。
入会金+年会費
社労士は連合会へ登録すれば終わりではありません。
連合会へ登録をすると、各都道府県にある社労士会の会員になることになっているため、先ほどの登録料とは別に社労士会への入会金、年会費がかかります。
またどこの都道府県の会員になるかや、開業社労士か勤務社労士かによっても金額が異なってきます。
例として東京の入会金と年会費を見てみると、
入会金 | 年会費 | |
開業社労士 | 50,000円 | 96,000円 |
勤務社労士 | 30,000円 | 42,000円 |
上記のようになっています。
東京で開業する場合には、初年度に最低でも146,000円が必要になってきますね。
各都道府県により入会金、年会費のバラつきがありますので、事前に登録を考えている各社労士会のホームページでチェックしておきましょう。
ホームページ作成料
ひと昔前であれば、会社のホームページがなくても知り合いからの紹介などにより顧客を獲得することができていましたが、今の時代はインターネットで集客するのが当たり前です。
たまにホームページがなかったり、無料ブログ内で作っている方も見かけますが、様々な面で機会を喪失してしまっていると思います。
ホームページがしっかりしていれば事務所の信用性が上がり、自然とホームページからの顧客獲得にもつながります。
ホームページの作成費用は上を見ればキリがありませんが、10万~30万ほどは確保しておきましょう。
事務所の家賃
自宅であってもすぐに開業は可能ですが、仕事とプライベートを分けたい人や、事業拡大を考えるのであれば、事務所の賃貸料も発生します。
また個人情報を多く扱う仕事である以上、事務所があったほうが顧客も安心するかと思います。
必ずしも駅チカである必要はありませんが、個人情報を多く扱う以上最低限のセキュリティ対策は必須です。
事務所の備品
すでにパソコン、電話などお持ちであれば特段必要ありませんが、コピーやFAXができる複合機はあったほうが何かと便利です。
FAXなんて…って思うかもしれませんが、社労士の顧客は中小企業がほとんどなので、FAXでのやり取りがメインの企業も多くありますよ。
給与計算や台帳管理ソフト
業務として給与計算を請け負う場合には、給与計算ソフトの導入が必要です。
給与計算の他にも給与明細の印刷やクラウドデータでの送信、年末調整の業務など幅広く使えるソフトが増えてきていますので、事務所で行う業務に合わせて検討しましょう。
また顧客が増えてくると、紙のデータだけでは管理できなくなります。
エクセル等で管理することももちろん可能ですが、マイナンバー等の管理をする意味でも台帳管理ソフトの導入をおススメします。
その他雑費
インターネット代や電話代などの通信費、名刺に事務所の印鑑や机、イスなどの費用が該当します。
机やイスなど全て一式揃えるのであれば少なくても30万、特に用意するものがなくとも10万円程度は用意しておきましょう。
運転資金
社労士として開業当初は思うように利益が上がらず苦しむ方が多いです。
休みの日にアルバイトをしたり副業をする手もありますが、当面の生活費として最低でも100万円は用意しておきましょう。
最初の段階では顧客探しのための交通費、宣伝費など、想像以上にお金がかかるものです。
心にゆとりのある生活を送るためにも、無茶は禁物です。
独立開業モデル例
東京の自宅で独立開業した場合のケースを計算してみましょう。
登録免許税+登録手数料:60,000円(必須)
入会金+年会費:146,000円(必須)
事務指定講習費用:75,600円(実務経験の有無による)
ホームページ作成料:100,000~300,000円(ほぼ必須)
事務所の家賃:0円
事務所の備品:10万円
その他雑費:10万円
運転資金:100万円
独立するというだけで見れば20万円前後でも平気ですが、今後長い目で見るのであれば、運転資金も含め150万円前後用意しておくといいでしょう。
事業が軌道に乗るまでは削れる部分は削り、その分広告費に費用を割くほうが経営としてはいいかと思います。
まとめ
- 連合会への登録料+入会金だけでも約200,000円は必要
- 事務所の家賃や備品などはできるだけ抑え、その分ホームページの作成や広告費に充てるべし
- ゆとりをもって仕事をするためにも100万円程度の運転資金は用意しておこう
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