【無知は損!?】仕事を辞める前に確認すべき社会保険の5つのポイント

転職

社会人として働いている方は、知らず知らずのうちに色々な社会保険に入っていますよね。

労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険をいわゆる社会保険と言うのですが、会社を辞めるとこれらの保険料を自分で支払わなくてはいけません。

この社会保険の仕組みを知らないと、

失業保険をもらえると思っていたのに、ハローワークへ行ったら失業保険は出ないと言われてしまった…

仕事を辞めたのはいいけどこんなに保険料がかかるなんて知らなかった…

なんてことにもなりかねません。

ここではそんな社会保険について改めて確認し、仕事を辞める前に

  • 仕事を辞めてケガや病気をしたらどうなるの?
  • 本当に失業保険をもらえる要件を満たしているの?
  • 会社を辞めたら社会保険料の負担はどのくらいになる?
  • 社会保険料を払わなかったらどうなる?
  • 社会保険料を払わなくて済む方法は?

この5つのポイントについて見ていきましょう。

仕事を辞めてケガや病気をしたらどうなるの?

これまではケガや病気をした際には、必ず保険証を持って病院へ行き、診察を受けていたかと思います。

この保険証は正式名称を健康保険被保険者証といい、あなたが「健康保険の被保険者である」ということを表しています。

この保険証を病院で提示するとこれまで保険料を支払ってきた代わりに診察料や薬の代金が3割負担で済むので、高額な費用を負担することなく安心して受診することができていました。

しかし会社を辞めると健康保険の被保険者ではなくなってしまうので、この保険証は退職と同時に会社へ返却しなければなりません。

そんな保険証が手元にないのにケガや病気になってしまったら、

病院の費用を全額自己負担しなければならない

なんてことにもなりかねません。

そこで会社を辞めた人には、新たに保険に加入する方法が2つ用意されています。

新たに保険に加入する方法

新しく保険に加入するためには、下記のどちらかを選択することになります。

新しい保険に加入する方法
  1. 国民健康保険に加入する
  2. 健康保険の任意継続被保険者になる

それでは順番に見ていきしょう。

国民健康保険に加入する

まず1つ目が国民健康保険に加入する方法です。

国民健康保険に加入すれば、これまでの健康保険同様保険証がもらえるので、保険証を提示すれば病気やケガをしたときの負担を3割に抑えることができます。

手続きは会社を辞めてから14日以内にお住まいの地域の市町村役場へ行き、必要書類を提出すればOKです。

この国民健康保険とこれまでの健康保険と違う点は主に3点です。

  • 保険の運営者が変わる
  • 保険料が変わる
  • 一部保険の内容が変わる
保険の運営者が変わる

これまで健康保険は全国健康保険協会、もしくは健康保険組合が運営をしておりましたが、国民健康保険は都道府県+市町村が運営しています。

正直我々からすればあまり大きな違いはないので、ここは気にしなくても大丈夫です。

保険料が変わる

ここが1番大きな違いかもしれません。

これまでの健康保険は月の給料の金額に応じ50の段階別に区分され、保険料を会社と従業員が折半負担するという負担方法になっており、専業主婦の方や小さなお子さんがいても保険料を取られることはありませんでした。

しかし国民健康保険では一人ひとりに保険料が加算されるため、個人差もありますが人によっては大きく保険料が変わる可能性があります。

この点は都道府県や市町村によって金額が変わってくるため、気になる方は予め市役所等に確認しておきましょう。

一部保険の内容が変わる

社会人が業務中以外にケガや病気をして働けなくなった場合、最長で1年6か月の間傷病手当金という給付を受けられる制度があるのですが、国民健康保険にはこの制度がありません。

また出産手当金という女性が産前6週間、産後8週間の間に受けられる給付も国民健康保険では受給することができません。

頻繁に使う機会はありませんが、このような違いがあるというのは覚えておきましょう。

健康保険の任意継続被保険者になる

この任意継続被保険者とは、会社を辞めてもこれまで加入していた健康保険を引き続き継続することができる制度です。

手続きには会社を辞めてから20日以内に各都道府県にある健康保険協会(協会けんぽ)へ届け出をする必要があります。

一見「継続」という名前が付いているので、これまでと大きく変わらないと思うかもしれませんが、3つほど注意点があります。

2か月以上健康保険に加入していた実績がなければ、任意継続被保険者になることができない
これまで会社と折半負担だった保険料を1人で払わなければいけないため、保険料が高くなる可能性が高い
傷病手当金、出産手当金は利用できない※一部の方を除く

日本の法律では必ずどちらかの保険に加入しなければいけないことになっていますので、どちらの保険にすべきなのか、仕事を辞める前に考えておきましょう。

本当に失業保険をもらえる要件を満たしているの?

まずはそもそも失業保険とは何か確認しておきましょう。

失業保険とは?

失業保険とは、雇用保険に加入している人が仕事を辞めた際に、次の仕事先が見つかるまでの間これまでもらっていた給与の45%~80%の給付を受けることができる制度です。

会社勤めの方は毎月給与から天引きされているはずなので、予め給与明細から天引きがされているか?事前に確認しておきましょう。

この給付を受けるためには、勤めていた会社から離職票というこれまで勤めていた期間と賃金が記載された書類をハローワークへ提出し、合わせて求職の申し込みをしなければなりません。

仕事も探さないのにいつまでも給付を受けることはできませんよ!ということですね。

失業保険をもらえる要件について

この失業保険は雇用保険に入っていれば誰でも受けられるというわけではありません。

それを認めてしまうと、

仕事をしてすぐ辞めてを繰り返せばずっと失業手当を受けられる…!

なんて悪い考えを持つ人も出てきちゃいますからね。

なので失業手当を受給することができる要件は、

1年以上会社に勤務していること

ということが失業保険をもらえる要件になっています。

実際に私の友達で新卒でブラック企業に入ってしまい、1年も経たず辞めてしまった人がいるのですが、その人が辞めたのはその会社に入社してから11か月目に入った頃でした。

後1か月我慢していれば失業保険をもらえる要件を満たしていたのですが、結局その友達は1か月足りないというだけで失業保険をもらうことができませんでした。

このように保険に関する知識がないと大損してしまう可能性もあるので、新卒で働き始めたばかりの方は特に注意してください。

解雇されてしまったり、残業時間がかなり多かった場合などはこの1年の要件が6か月に短縮される場合もあります。

注意点

ここでは失業保険を受ける際の注意点を3つほどご紹介します。

  • 特に何の理由もなく自己都合で会社を辞めた場合は、約3か月間は失業保険が支給されません
  • 失業保険をもらっている期間中にアルバイトなどで収入を得た場合は、失業保険が減額される可能性があります
  • ハローワークの職業紹介を意味もなく断った場合、一時給付が制限される可能性があります
特に何の理由もなく自己都合で会社を辞めた場合は、約3か月間は失業保険が支給されません

解雇や雇用契約の期間満了などやむを得ない事由がないいわゆる「自己都合退職」の場合は、

自分の意思で辞めたのならすぐに失業保険を受ける必要はないですよね!

という理由で約3か月間は失業保険を受けることができません。

仕事辞めても失業保険もらえるし、こんな嫌な仕事辞めちゃお!

と思っていても、すぐに失業保険はもらえないので注意しましょう。

失業保険をもらっている期間中にアルバイトなどで収入を得た場合は、失業保険が減額される可能性があります

失業保険は仕事を辞めてから次の仕事が見つかるまでの間、転職活動中の生活費を補助するという意味合いがあるので、たとえ短期のアルバイトや派遣で働く場合でも、ある程度の収入があると判断されると失業保険を減額されてしまう可能性があります。

なので失業保険をもらっている間はアルバイトなどはせず、転職活動に専念したほうが利口だと言えますね。

どうせ見つからないし大丈夫だろう

と思っていても、近年ではハローワークへのマイナンバーの届け出が必要になっているため、収入があれば国側が把握できる状況になっています。

仮に収入があるにも関わらずそのことを報告しないと失業保険の不正受給扱いになってしまう可能性もあるので、十分注意しましょう。

ハローワークの職業紹介を意味もなく断った場合、一時給付が制限される可能性があります

失業保険を払っている国からすれば早く就職先を見つけてもらい、また仕事に就いて雇用保険料を払ってほしい訳ですから、ハローワークの職員も一生懸命仕事の紹介をしてきます。

そこで上限日数に達するまで失業保険をもらいたいからと言って何度も仕事の紹介を断っていると、一時失業保険が受けられなくなってしまう可能性があります。

あまりに自分のスキルと給与が釣り合わなかったりする場合にはもちろん断ることもできますが、あまりハローワークの職員に悪いイメージを持たれないよう転職活動は誠実かつ熱心に取り組みましょう。

「求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない」。雇用保険法にもこのように規定されています。

会社を辞めたら社会保険料の負担はどのくらいになる?

会社に勤めていた頃とは違い、会社を辞めた後はこれまで給与から天引きされていた保険料を自分自身で納めなければなりません。

会社を辞めた後はどのくらい保険料の負担があるのか?具体的に見ていきましょう。

20代で月20万円(年収300万円)もらっている単身の方の場合

ここでは20代で月の給与が20万円、東京都新宿区に在住していた場合のシミュレーションです。

国民健康保険任意継続健康保険国民年金
14,626円/月19,800円/月16,410円/月

国民健康保険を選んだ場合は国民年金の保険料と合わせて31,036円、健康保険の場合は36,210円を月々支払いしなければなりません。

なので毎月約3万円は保険料分としてお金を用意しておく必要があります。

これまでは給与から予め天引きされていたのであまり気にしていなかった人も多いと思いますが、自分で払うとなると結構大変ですよね。

因みに国民健康保険と健康保険を比較すると、単身の場合だと国民健康保険のほうがお得です!

40代で月30万円(年収450万円)もらっている配偶者、子2人の4人家族の場合

次に40代で月の給与が30万円、東京都新宿区に在住し、妻1人、子2人の4人家族の場合のシミュレーションです。

国民健康保険任意継続健康保険国民年金
45,366円/月34,890円/月16,410円/月

収入が増えるにつれて保険料も上がるので、単身の場合と比べて保険料が高くなっています。

国民健康保険の場合だと61,776円、任意継続健康保険だと51,300円とこの社会保険料だけでもかなりの負担ですね。

妻やお子さんがいる場合は任意継続健康保険のほうが約1万円分お得になります!

これは妻とお子さん二人が夫の扶養に入っている(被扶養者)ため、健康保険料の負担がないからですね。

こちらのサイトで国民健康保険料がいくらかかるのかシミュレーションをすることができるので、ご自身でも1度確認してみてください。

社会保険料を払わなかったらどうなる?

1度会社を辞めると収入源がなくなるので、場合によっては保険料すら払えない状況になってしまうこともあります。

そうなってしまうとどうなるのか?予め確認しておきましょう。

結論から言うと、最悪の場合財産を差し押さえられる可能性があります。

健康保険、国民年金の保険料は、一定の年齢に達するまでは必ず支払わなければならない仕組みになっています。

これは仕事をしている、していないという個人の事情は関係ありません。

差し押さえなんて脅しなだけで、本当はあまりないんじゃないの?

と思う方もいるかもしれませんが、実際に約15,000件も差し押さえをされた年もあります。

遅れた分の延滞金もかかりますし、差し押さえもされますしいいことなんて1つもありませんので、仕事を辞めても当分の間保険料を払えるだけの余力はあるのか?よく考えてから行動しましょう。

社会保険料を払わなくて済む方法は?

最後に仕事を辞めても社会保険料を払わなくていい場合について見ておきます。

それは家族や配偶者(夫か妻)の扶養に入ることです。

その扶養に入る方と同居しているかどうかや年齢によっても変わってきますが、概ね仕事を辞めてから将来的にもらえる年収が130万円未満であれば、扶養に入ることができます。

収入もないし保険料なんて払えない…

ということであれば、一度ご家族に相談してみてはいかかでしょうか?

詳しくは協会けんぽのホームページでご確認ください。

ただし国民年金は配偶者の扶養に入る方以外は支払わなければいけないので、どうしても支払いが難しい場合は納付を猶予してくれる制度、1/2や1/4の支払いでも容認してくれる免除制度もあるので、詳しく知りたい方は日本年金機構のホームページをご確認ください。

まとめ

  • 社会保険は単身の方なら国民健康保険の方がお得
  • 失業保険を受けるには1年間会社に勤めた実績が必要
  • 家族や配偶者の被扶養者になることで、保険料の負担を抑えることもできる

以上仕事を辞める際のポイントを5つに絞ってご紹介しました。

転職を考えている方は特に参考にしていただければ幸いです。

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