【5分で分かる!】同一労働同一賃金の分かりやすい解説書

働き方改革関連

働き方改革関連法により導入される同一労働同一賃金

ネットニュース等でも1度は聞いたことはあるのではないでしょうか?

ただ言葉自体は聞いたことがあっても

そもそも同一労働同一賃金ってなに?

少し読んでみたけど、専門用語が多くて全然分からない!

という方も多いと思います。

ここでは、今話題の同一労働同一賃金を簡単に、分かりやすくご説明していきます。

同一労働同一賃金とは?

簡単に言えば、正規社員と非正規社員間の格差をなくすために、正社員とアルバイトやパートの方の仕事内容が同じ場合(同一労働)には、同じ賃金(同一賃金)を支払わなくてはならないという考え方です。

この法律は正社員とアルバイト・パート間の待遇差を改善するというのが目的なので、現在正社員同士の待遇差に関しては規定されていません。

なんで導入されることになったの?

現在日本では、仕事をしている方の約40%はアルバイトやパート、フリーターなどの非正規労働者と言われております。

10人に4人は非正規社員と考えるとかなり多いですよね。一般的に正社員のほうが、アルバイトやパートの方より給与が高いというのが現状です。しかし、

仕事内容は正社員と全く同じなのに、雇用形態が違うだけで給料が違うなんておかしい!

という声がたびたび上がっており、仕事内容は同じでも給料は正社員の70%程度だったり、正社員は交通費や賞与の支給があるが、アルバイトにはなかったりと不合理とも言える問題が数多くありました。

この問題を解決し、正規社員と非正規社員の間にある不合理な待遇差をなくすために、この同一労働同一賃金の規定が設けられました。

もともと別の法律(労働契約法第20条)でも労働条件の不合理な格差をつけることは禁止されていましたが、同一労働同一賃金にてより具体的に規定されました。

施行日はいつから?

企業の規模別に施行日が分かれており、大企業であれば2020年の4月から、それ以外の中小企業であれば、2021年の4月からスタートになります。

大企業、中小企業の区分については、下記図をご参照ください。

出典:同一労働同一賃金.comホームページ(https://douitsu-chingin.com/column/996/)

業種別に分かれており、どちらかの区分に該当していれば中小企業という扱いになります。

因みにIT企業や金融業などはその他の業種に区分されます。

具体的にどのようなことが変わるの?

同一労働同一賃金には大きく均等待遇と、均衡待遇の2つが規定されています。

ここでは㈱Navigateで働くA太さんとB子さんを例に考えてみましょう。

㈱Navigateは、全国にスーパーを展開している会社です。

均等待遇
A太
A太

私は店舗で在庫管理やレジを担当しており、入社1年目の正社員として働いてます。給料は月に20万円です。転勤することはありません。

B子
B子

私も同じく在庫管理やレジを担当していますが、週3勤務のパートとして働いてます。給料は時給1,000円です。転勤することはありません。

このように正社員とパートという雇用形態が違っても、同じ仕事内容で働いているのであれば、同じ給与を支払わなくてはならないのが同一労働同一賃金です。

A太さんが月給で20万、B子さんが時給1,000円で働いているのであれば、A太さんの月給を時給に換算し、B子さんの時給をA太さんの水準に引き上げるか、A太さんの給与を引き下げるかという対応をしなければなりません。

これが同一労働同一賃金の均等(イコール)待遇です。

給与だけではなく、施設の利用や教育制度なども同一労働同一賃金の内容に含まれています。

均衡待遇

次にC男さんを見てみましょう。

C男
C男

私は在庫管理やレジを担当するほか、新入社員の教育やクレーム対応、パートさんのシフト作成なども行っています。給与は月給25万です。全国に店舗があるので、転勤することもあります。

ではこの場合B子さんとC男さんを比較し、同一労働同一賃金に当てはまるのでしょうか?

当然ながら、答えはNOです。

B子さんとC男さんでは仕事の内容が一部違う(同一労働ではない)ため、同一労働同一賃金の均等待遇には当てはまりません。

この仕事の内容が違うというのは、仕事上の責任の範囲(クレーム対応等)や、転勤の有無も含まれることになっています。

ただし仕事の内容が一部違うというだけで、給与の額が全く異なっても良いという訳ではなく、仕事内容の違いに応じ、バランスを考慮した賃金決定をしなければなりません。

これが同一労働同一賃金の均衡(バランス)待遇です。

企業側に罰則はあるの?

大企業では2020年より施行される同一労働同一賃金ですが、現在直接的な罰則は設けられておりません

ただし、国籍が違うというだけで労働条件が違っていたり、男女間で性別の違いで賃金等の待遇差がある場合には、別の法律で罰則が定められております。

その他同一労働同一賃金自体には罰則の規定はないものの、「非正規社員だからという理由だけで、賞与の支払いがない」、「非正規という理由で家族手当や住宅手当の支給がない」ということを理由に、企業側に損害賠償責任が生じるということは十分考えられます。

企業担当者は改めて自社の規定を見直し、早急に対応しましょう!

同一労働同一賃金のメリット・デメリット

最後に同一労働同一賃金の導入によって労働者側が受けるメリット・デメリット、企業側が受けるメリットやデメリットについて見ていきます。

労働者側のメリット
  • アルバイトやパートの方の給与が上がり、それにより仕事に対するモチベーションが高まる
  • 従業員間での公平性が保てるようになり、給与形態や制度に対する不満が少なくなる
企業側のメリット
  • 従業員のモチベーションが上がると労働者一人ひとりのパフォーマンスが高くなり、企業の売り上げ増加に繋がる
  • 制度に対する不満が少なくなることにより、離職率が低下し優秀な社員が残りやすくなる
労働者側のデメリット
  • アルバイトやパートの方の賃金負担が増えるため、それを補うために正社員の給与が下がる可能性がある
  • 従業員間の雇用形態による区別がなくなることにより、パートの方でも正社員と同様の成果を求められる可能性がある
企業側のデメリット
  • アルバイトやパートの給料を上げることによる人件費の負担が増える
  • 就業規則や労働契約の見直し、従業員に対する説明義務など、同一労働同一賃金関連だけでも多くの時間を割かなければいけなくなる

まとめ

  • 同一労働同一賃金には給与などの待遇を等しくする均等待遇と、バランスを考慮する均衡待遇の2つがある
  • 大企業は2020年から、中小企業は2021年から適用される
  • 同一労働同一賃金によってアルバイトやパートの方の給与が上がる可能性が大いにある!?

既にドイツやフランスで導入されている同一労働同一賃金ですが、はたして日本の文化に馴染むのか?より良い改正であることに期待したいですね。

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