【働き方改革で追い風!?】社労士(社会保険労務士)の試験科目や合格率、魅力について

資格

今話題の働き方改革や年金問題、超少子高齢化社会や医療費の増大等日本の社会問題に精通する社労士ですが、魅力や将来性、試験科目、勉強時間の目安などについて詳しく見ていきましょう。

社会保険労務士とは

社会保険労務士とは、経営資源と言われる「ヒト・モノ・カネ・情報」の「ヒト」に重点を置き、人事や労務、ヒトの観点から見た経営コンサルティングを行う人事・労務のエキスパートです。

コンサルティングの他にも取引先企業の給与計算や社員の入退社の手続き、助成金の申請なども行います。

さらに社会保険労務士は毎年増大している医療問題、年金問題の相談に応じ、社会保険に関する幅広い知識を有しているのも特徴の一つです。

ところでみなさんは2019年の4月より、フルタイムで働く労働者は年に必ず5日有給を使用しなければならなくなったということをご存じでしょうか?

知らなかった方はこちらの記事で詳しく説明しておりますので、もしご興味があればご覧ください。

これはほんの一例で、社会保険労務士の資格で学ぶ法律は毎年のように改正が行われており、企業の人事担当者の中にはそのような法改正が行われていることすら知らない人も多いのです。

そのような場合に必要になるのがこの社会保険労務士です。

持前の知識を活かし、改善すべき箇所、修正点を見つけ、労務の観点から企業経営をサポートする。これからの時代になくてはならない資格です。

働き方改革はまさにこの社労士の独壇場とも言えますね。

試験科目

社会保険労務士の試験科目は大きく10科目あります。

労働基準法

1日の労働時間は8時間、1週間では40時間が上限、8時間を超える労働をした場合には、1時間以上の休憩が必要など、労働条件の最低基準を定めた法律が労働基準法です。

2019年には先ほどの年5日の有給消化の義務化や高度プロフェッショナル制度の導入など、約10年振りに大きな改正が行われました。

労働安全衛生法

皆さんは年に1回会社で健康診断の受診をされているかと思いますが、このような労働者の安全や衛生面を確保するための手段や方法を定めているのがこの労働安全衛生法です。

労働者災害補償保険法

よく「労災」という略称で呼ばれており、何度か聞いたことがあるのではないでしょうか?通勤や業務上で事故に遭った際の治療の内容や、業務災害、通勤災害に遭い働けなくなった場合の賃金補償などについて記載されています。

雇用保険法

一度転職を経験された方や育児休業を取っている方であれば、多少馴染みがあるかと思います。主に仕事を辞めてから次の仕事が決まるまでの間の賃金補償(失業手当)や、育児休業、介護休業中の賃金の規定などが記載されています。

労働保険徴収法

上記の労災保険と雇用保険は一般的に労働保険と呼ばれており、給与明細上では毎月給料から天引きされていますが、実際に企業が労働保険料の支払いをしているのは、年に1回だけなのです。このような労働保険の徴収に関する規定や、納付方法などについて記載されています。

この法律は一般的に「徴収法」なんて言われていますね。

健康保険法

皆さんが持っている保険証は病院で提示すれば治療費を3割負担に抑えることができますよね?このような規定の他にもプライベートでケガをして働けなくなった場合に利用することのできる傷病手当金や、莫大な医療費がかかってしまったときに一定の金額負担だけで抑えることのできる高額療養費等について定められています。

社会人が加入するのが健康保険で、自営業者やフリーターなどが加入しているのは国民健康保険と制度自体が異なっています。

健康保険と国民健康保険の違いについてはこちらの記事でも一部解説しております。

国民年金法・厚生年金保険法

年金には2種類あり、この国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。国民年金は定額の保険料で、65歳になったらこれまで納付した月に応じた年金を受給することができますが、厚生年金は給与の金額に応じた保険料が徴収されるので、人によって保険料はまちまちです。給与が高い人ほど高い保険料を毎月支払いしているのですが、その分65歳になった際に多めの年金をもらうことができます。

よく社会人の方で

自分は厚生年金にしか加入していないし国民年金の保険料も払っていないから、将来国民年金はもらえない!

という方も多くいらっしゃるのですが、厚生年金に加入しているのであれば自動的に国民年金にも加入しており、一定以上の期間加入していればどちらも支給されるのでご安心を。

この健康保険法と厚生年金保険法の2つを合わせて社会保険と呼びます。

一般常識

大きく労働保険に関する一般常識と、社会保険に関する一般常識と2種類に分かれます。

一般常識とは言ってますが、上記のような単体の法律で科目になっていない法律からの出題が基本です。

労働保険に関する一般常識の中には労働者派遣法や男女雇用機会均等法、最低賃金法があり、社会保険に関する一般常識では国民健康保険法、介護保険法、確定拠出年金法などがあります。

働き方改革で話題の同一労働同一賃金もこちらの一般常識の科目に含まれております。

以上一般常識を含めた10科目が社会保険労務士の資格を取得する際に勉強する科目です。

おススメポイント

  • 労働法や社会保険、年金に関する知識など自己防衛や自身スキルアップに繋がる
  • 働き方改革や頻繁な法改正による需要の増大
  • 独立しても安定した収益を稼ぐことのできる、独立開業向きの資格

労働法や社会保険、年金に関する知識など自己防衛や自身スキルアップに繋がる

社会保険労務士の試験科目の中には労働基準法が含まれています。試験科目の所でもお伝えしたとおり、労働基準法というのは働く人の最低限の労働基準を定めたものです。

仮に労働基準法を下回る労働条件で働いていた場合には、労働基準法違反となり、早急に改善しなければなりません。

もしかしたら皆さんの中にも労働基準法違反にも関わらず、それに気づかないまま働いている人もいるかもしれません。

そもそも労働法を勉強していないと、今働いている状況が労働基準法違反かどうかの判断基準さえ曖昧なものになってしまいます。

もし社会保険労務士の資格の勉強をしていれば、この場合はセーフだがこれはアウトという具合に判断基準が身に付き、違反していた場合には声を上げることができるのです。

また労働保険や社会保険には通勤上、業務上負傷した場合の賃金補償として休業給付が、プライベートでケガや病気をして働けなくなった場合には傷病手当金の申請ができます。

仮に高額な治療費が嵩んだ場合には高額療養費が支給されますし、自己研鑽のため資格の取得のため支払った費用の2割が還付される教育訓練給付などもあります。

皆さんが思っている以上に日本の社会保険は充実しているのにも関わらず、必要のない保険に加入しているケースはありませんでしょうか?

日本の義務教育では税金に関する知識もそうですが、社会保険に関する知識のほとんどは学校では教えてくれません

日本の社会保険を改めて理解することで、ご自身の家計の手助けになったり、困っている友人の手助けもできるかもしれませんね。

働き方改革や頻繁な法改正による需要の増大

人口の減少や少子高齢化、長時間労働の是正や有給取得率増加などを目的に、2019年の4月に働き方改革関連法が施行されました。

それに伴い主に8つの法律が改正され、今も改正に伴う規則の見直し等で人事課、労務課は大忙しです。

さらに追い打ちをかけるように、2020年には大手企業を皮切りに同一労働同一賃金がスタートします。内容は深入りしませんが、簡単に言えば正規の社員と非正規の社員が同じ仕事をしているのであれば、同じ給与を支払わなければならなくなったのです。

このように労働法に関する法律はたびたび改正が行われており、この間までと内容が全く変わっているなんてことも往々にしてあります。

年金の受給資格についてもそうですね。

これまでは25年間年金の保険料を納めていなければ将来年金の支給を受けることはできなかったのですが、2017年にその期間が25年から10年に短縮されました。

自分は年金なんて払ってきてないから関係ないや…

と思っていた人でも、今後10年間年金の保険料を支払えば、将来その保険料額に見合った年金の受給が可能なのです。

このように社会保険に関する法律はたびたび改正が行われ、その度に専門家に相談をする必要が出てきます。

そこで登場するのが社会保険労務士です。

社会保険労務士は労働法に関する知識はもちろん、最新の法改正や国の助成金まで幅広くカバーしています。

「ヒト」の観点から会社の経営戦略、組織体制を整えるのも、社会保険労務士の仕事です。

別の記事でもお伝えしたとおり、経営のコンサルティングなどの高度な仕事はAIに代替されることはありません。

世の中の需要は増え続けAIにも代替されず、実生活でも活用できる資格。それが社会保険労務士なのです。

独立しても安定した収益を稼ぐことのできる、独立開業向きの資格

社会保険労務士も行政書士と同様、独立開業向きの資格といえます。

電話とパソコンさえあれば自宅ですぐに開業することもできますし、初期費用もほとんどかかりません。

あとはご自身の経営手腕次第といったところでしょうか。

ただ行政書士と違う点で言うと、安定した収入を稼ぐことができるのが、社会保険労務士の特徴です。

理由は社会保険労務士の報酬の仕組みにあります。

弁護士や行政書士、司法書士や社会保険労務士などの士業には大きく分けて2つの報酬を得る方法があります。

手続きの際に報酬をもらう、いわゆる一時的なスポットでの報酬
顧問料として毎月定額の報酬をもらう、継続的な報酬

上記の2種類です。

行政書士や司法書士は前者にあたり、弁護士や社会保険労務士は後者になります。

どちらが毎月の報酬が安定するかは一目瞭然ですよね。

社会保険労務士は毎月の顧問料を報酬として受け取る代わりに給与計算や社会保険の手続き、労務に関するコンサルティングを行うので、新しい取引先が増えれば増えるほど毎月の報酬額が比例して高くなり、毎月の報酬も安定するのです。

一方で行政書士、司法書士は単発での依頼が多いため、報酬がかなり高くなる月もあれば、一時的に少なくなる月もあったりと収入の波が荒くなる場合があります。

好みにもよるかもしれませんが、私個人的には毎月の報酬が安定していたほうが精神的にも良さそうかなと思っています。

資格の大原 社会保険労務士講座

資格取得までに必要な勉強時間

目安として、おおむね800~1,000時間と言われています。

一概に難易度の比較はできませんが、勉強時間だけで言えば

行政書士<社会保険労務士<中小企業診断士

といったところでしょうか?

社会保険労務士は試験科目のところでもお伝えしたとおり10科目もあり、とても簡単な試験とは言えません。

その反面合格した時の喜びは言葉には表せないものがあり、長い時間勉強に時間を割くだけの価値が社会保険労務士にはあります。

合格率、試験日程

それでは社会保険労務士試験の合格率について見ていきましょう。

出典:資格スクエアホームページ(https://www.shikaku-square.com/media/syaroshi/083-pass-rate-syaroshi/)

一時極端に合格率が低い時期はあったものの、現在では6%前後になっています。

合格率だけ見ればかなり低いですが、合格率が低い要因は単に難しいだけではなく、記念受験感覚で応募する人や、今年の試験には間に合わないけど雰囲気だけでも味わいたいと思って受験する人が一定数いるからです。

受験者数が他の資格と比べて多いので、合格率が下がってしまうのは当然かもしれませんね。

また試験日程ですが、例年毎年8月の最後の日曜日に実施されています。土日休みの方であれば問題ないですし、シフト休みや平日が休みの方でも予め試験日は決められているので、挑戦する方は事前に確認しておきましょう。

まとめ

  • 働き方改革や法改正など、今需要が拡大しているなくてはならない資格
  • 労働基準法等の身近な法律を勉強するため、日常生活でも活かせる知識が身につく
  • 独立開業向きの安定した収入を得ることのできる資格

通信講座で人気のフォーサイトについては、こちらの記事でもご紹介しておりますので、よかったら参考にしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました