国の助成金は育児に関するもの、障害者雇用に関するものなど数多く存在しますが、パンフレットを見ただけでは頭に入ってこないものばかりです。
ここでは両立支援等助成金の育児休業等支援コースについて、5分で分かりやすく解説していきます。
ここでは理解しやすいように、育休取得時と復帰時にもらえる助成金中心にお伝えします。
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは?
簡単に言えば、
要は日本では少子高齢化が進んでおり、子供の数を増やす必要があります。
そのためには働く女性が気軽に産休、育休に入れるような会社側の協力が不可欠のため、育児に協力的な会社は国が補助金を出して後押ししますよ!という内容になっています。
この助成金に取り組むことによって従業員は仕事と育児が両立しやすい職場環境になり、会社はその取り組みに対し助成を受けることができるという双方にメリットのある助成金です。
助成金の額はいくらで何人まで申請できるの?
助成金の額ですが、
授業員一人あたり育児休業に入るときに最低285,000円、育休から復帰するときにも同額の最低285,000円が支給されます。
なので従業員一人当たりの助成金の額は570,000円ですね!
何人まで申請できるかについては、1企業に対し2人までとなっております。
支給申請までの流れ
次に申請までの流れについて確認してみましょう。
基本的には図にあるように、上記の流れに沿って進めていきます。
①就業規則の整備・周知
まず最初は就業規則を整備します。
就業規則がない会社は労使協定でもいいのですが、他の助成金を申請する際にも就業規則が必要なケースは多いので、この際頑張って作っちゃいましょう!
就業規則のひな型は厚生労働省のホームページで公開されています。
大事なのは就業規則だけではなく育児・介護休業規程も合わせて作成し、その中に以下の文面も含めることが大事です。
復帰を支援するために、当該労働者ごとに育休復帰支援プランを作成し、同プランに基
づく措置を実施する。同プランに基づく措置は、業務の整理・引き継ぎに係る支援、育
児休業中の職場に関する情報及び資料の提供を含むものとし、育児休業を取得する労働
者との面談により把握したニーズに合わせて定め、これを実施する。
上記の条文はに入っていないので、こちらは追記する必要があります。
作成したら管轄の監督署への届け出も忘れずに!
②一般事業主行動計画の作成・届け出
そもそも一般事業主行動計画とは何かと言うと、従業員が仕事と子育てを両立できるように働きやすい環境を整備し会社の事情に合わせた目標を立て、それを世間に公表することにより、社会全体で子育てがしやすい世の中にしていきましょうというものです。
例えばあまり育児休業が認知されておらず、育休を取る人が少ないような会社では、産前産後休業や育児休業、育児休業給付、育休中の社会保険料免除など制度の周知や情報提供を行うという目標を立て、制度の周知を図り育休の取得を推進しようという目標もいいかもしれませんね。
③育休取得者との面談実施
両立支援等助成金とは?でもお伝えしたとおり、育休に入りやすいように会社が制度を整えた場合に支給される助成金なので、対象の従業員と育休に入る前に面談を実施し、これまで行っていた業務の棚卸を行い、仕事を誰に引き継ぐかを事前決めないといけません。
また子供が生まれたら残業時間を減らしてほしい、短時間勤務にしてほしいなどの要望が出てくることもあるでしょう。
そのような悩みも面談を通して聞いてあげてください。
④プランの作成
面談の内容をもとに、具体的に業務の引継ぎをいつまでに誰に対して行うか?プランを決めましょう。
このプランについては助成金を申請する際提出する書類になるのですが、
・業務の整理、引継ぎに関する事項
・育児休業中の職務及び資料の提供に関する事項
この2つはプランの中に必ず盛り込まなければいけません。
このプランに基づかず、業務の引継ぎを先に済ませてしまった場合も支給対象外となってしまうので注意です!
⑤対象従業員の3か月以上の育児休業
育児休業に入る方に対しての助成金なので、最低でも3か月は育休を取らせなさいよということです。
この育児休業とは産後休業も含めてカウントするので、子供が生まれた日の翌日から3か月休ませれば問題ありません。
他の助成金と比べて内容が分かりやすく、取り組みやすい内容になっています。
準備するもの
まずは準備するものを箇条書きにしてみますね。
- 支給申請書(様式第1号①と②)
- 支給要件確認申立書
- 面談シート
- 育休復帰支援プラン
- 就業規則
- 対象者の育児休業申出書
- 対象者の休業前1ヶ月、休業開始後3か月の出勤簿、賃金台帳、母子手帳、雇用契約書育児休業開始日から起算して、3か月を経過
する日の翌日から2か月以内 - 一般事業主行動計画策定届
- 支払方法・受取人住所届
結構多いです…
ただ国が支給する助成金なので、こんなものだと割り切って進めましょう笑
内容を一つずつ見ていきます。
支給申請書(様式第1号①と②)
上の画像が様式1号、下の画像が様式2号です。
1号には会社の資本金や従業員人数、業種などの会社の概要を記載する書類です。支店があれば、本社を除く事業所の部分に支店の詳細も記載しましょう。
2号には対象従業員の詳細や、就業規則の周知・届け出をした日付などを記載していきます。
ここでは説明を省きますが、会社の生産性が上がっている場合には助成金の加算がされます。
その加算の対象かどうかもこの2号には記載します。
生産性要件の詳細はこちらから
支給要件確認申立書
次に支給要件確認申立書です。
簡単に言えば過去に不正受給をしていたり、暴力団関係にある会社には助成金は支給しないけどあなたの会社は本当に大丈夫だよね?ということを確認するための書類です。
他の助成金でも提出を求められる書類なので、既に見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
面談シート
申請までの流れでも育休復帰支援プランを作成するための面談が必要とお伝えしましたが、その面談での内容を記載するのがこの面談シートです。女性の従業員から
妊娠したので育休を取りたいんですけど…
という相談があったら
出産予定日は決まっていますか?
会社で配慮してほしいことはありますか?
などなど育休に入る前に確認することがありますよね?
そのような育休に入る前の内容を記録しておくのがこの面談シートです。
ちなみに上半分が出産予定日の確認や業務の引継ぎについて、下半分が育休中の連絡先や、復帰後の働き方についてを確認する内容になっています。
面談シートは左半分が<休業前>、右半分が<休業中・復帰後>となっていますが、育休取得時の申請に必要なのは左半分だけです。
育休復帰支援プラン
面談の内容をもとに、具体的な業務の引継ぎプランを立てる必要がありましたよね?それを記載するのがこの育休復帰支援プランです。
この復帰プランを立てる際の注意点として、
・育児休業取得予定者の業務の整理、引継ぎに関する事項
・育児休業中の職務及び資料の提供に関する事項
この二つは必ずプランの中に盛り込まなければいけません。
取組計画の欄へ最低この2つは記載をし、完了したら取組状況確認日にその日付を記入しましょう。
また注意点としてこのプランを作成する前に業務の引継ぎを先に完了してしまった場合には不支給になる可能性があるので、十分注意してください。
就業規則
就業規則を監督署へ届け出ると、監督署の受付印が押された就業規則が控えとして返却されます。
なのでただ就業規則を作るだけではなく、必ず監督署の受付印のある就業規則を用意しましょう。
規則を届け出る場合は、監督署への保管用と、会社保管用の計2部を用意する必要があるので注意が必要です。
対象者の育児休業申出書
育休を取りたいという申し出があった場合に口頭だけではなく書面に残しておいたほうが後のトラブルになりにくいですよね?
助成金の申請に必要というのもありますが、従業員から育休の申し出があったらこの育児休業申出書を記載し提出してもらうようお願いしましょう。
対象者の休業前1ヶ月、休業開始後3か月の出勤簿、賃金台帳、母子手帳、雇用契約書
助成金を申請するためには最低3か月は育休をとってもらう必要がありましたよね?
なので本当に育休に入っているかどうか確認するための証拠書類といった感じで提出が必要になっています。
出勤簿や賃金台帳なんて会社にないぞ?
という会社は急いで準備しましょう笑
最近ではクラウド上で勤怠管理ができる無料ソフトも多いので、まずはそちらを利用することをおススメします。
一般事業主行動計画策定届
実際これが一番面倒かもしれません笑
①会社が従業員の仕事と子育ての両立を図るための目標を立て、
②その目標を世間一般にも公表をし、
③その内容を労働局へ届け出る必要があります。
行動計画の策定、届け出に関してはこちらに詳しく載っているので、確認してみてください。
支払方法・受取人住所届
助成金を受け取るための口座情報を記入します。
過去に一度提出している場合には、再提出は不要です。
必要な書類はこちらからダウンロードできます
いつ申請すればいいの?
申請期限についてですが、
となっていますが分かりづらいので、下の図を見てみましょう。
産後休業をした後育児休業に入る方がほとんどなので、上の【育児休業を取得した時の申請例】は見なくていいです笑
5/11が出産日の場合の例ですが、出産日の翌日(5/12)から3か月を経過する日の翌日(8/12)から2か月以内(10/11まで)なので、このケースでは
この期間に申請をする必要があります。
出産後3か月経過が助成金申請の要件になっているので、
気づいたらいつの間に申請期限が過ぎてた…
なんことにならないように注意してくださいね笑
注意するポイントは?
注意するポイントは大きく3つです。
- 就業規則は早めに作成すること
- 育休復帰支援プランには業務の整理、引継ぎに関する内容、育休中の職務及び資料の提供に関する内容を盛り込むこと
- 先にプランを立ててから業務の引継ぎを行うこと
就業規則を初めて作成する場合は意外と(というかかなり)時間がかかります。
就業規則といえば本則である就業規則の他に賃金規程、育児介護休業規程の最低3つは作る必要があり、量が多いのはもちろん会社の法律に位置付けるものですので慎重に作成する必要があります。
また育児介護休業規程には育休復帰支援プランに関する内容を盛り込むのも忘れずに!
後の2番、3番はこれができていないと一発で不支給となる可能性があります。
基本的に助成金は一度提出したら不正防止の観点から、後で修正することができません。
なので必要書類は揃っているか、申請の手順は間違っていないかなど逐一確認しながら進めましょう。
まとめ
- 両立支援等助成金は、育児と仕事が両立しやすいような環境を整備することでもらえる会社にも従業員にもメリットのある助成金
- 育休を希望する人がいればすぐに取り組むことができるので、始めての助成金におススメ
- 最低限必要なもの、申請期限などは忘れずに!
個人的には女性の活躍が進んでいる今の時代にピッタリな助成金だと思っているので、気になる方がいましたらぜひ社内で検討してみてください。
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